真・女神転生 デビルサマナー

横浜と神戸を足しっぱなしにして、異界化したよ、というような作品

 としか言いようのない作品。不親切なゲームシステム、シビアな戦闘、小難しいダンジョン。ああ、なんだこれ。ゲームとしては大人でも難しい難易度。しかし、素晴らしい。親切なゲームがいいゲームとは限らない。

 そもそも、世界観が好みなんだな。七十年代の軽いノリの探偵ドラマ。草刈正雄とか出てくるやつね。それにオカルトジュブナイル小説のテイストを無遠慮にぶち込んでかき混ぜて、オシャレと間抜けをうまく両立している。

 東京を舞台にした真・女神転生シリーズとは違い、こちらは横浜に少し神戸を足している。筆者の感覚的には、横浜とだいぶコンパクトに縮めた感じだ。中華街とテレビ塔のある街。元町はないけどその代わり猥雑なアーケード街がある。子供心に大人の世界を少し垣間みえてドキドキする、そういう世界観だ。なかなかここまでおしゃれで固めたゲームはないだろう。これがうまく説明できないから困る。

ゲームシステムは渋いぞ

 何がって、仲魔の忠誠度のシステムがわかりにくい。攻略本読むまで、どうやって貢物を貢ぐのかさえわからなかった。それぐらいわかりにくい。そして、貢物をあげても「これって絶対損してない?」っていうぐらい、リターンがない。仲魔によってはレベル差で忠誠度が上がる場合もある。それがまた「このレベル差でないということを聞かないって‥‥もうこのダンジョンの敵に攻撃が全然通らないよ‥‥」ってぐらいリターンがない。
 ダンジョンもひどい。特に、後半なんて、ワープゾーンの連続。それも、ワープのエフェクトがあっさりしているせいで、ワープしたことにさえ気がつかない。攻略本を見ないと迷う。迷っているうちに死ぬ。まったくわからない。本当にわからない。
 そして、最近、知ったのだが、魔法反射と物理反射のアイテムを使えば、ボスも簡単に倒せるという攻略法がある。つまり、……そういうゲームバランスだってこと。
 九十年代とはいえ、このゲームバランスやゲームシステムは、なかなか、渋い。

セガサターンの思い出とともに

 PSP版は少しは優しいシステムになっている。だが、このゲームの醍醐味は「理不尽」で「おしゃれ」であることだ。
 おしゃれなのは世界観だけではない、音楽もいいのだ。
 そもそも、セガサターンは音源がいい。こればかりはプレイステーションより勝る。このゲームにおける思い出はセガサターンのゲームであること大きい。
 32ビットの衝撃は、はっきりいうと、なんだ、ps2を買った時以上の感動があった。画質がいいとか悪いとかではない、特別な感覚があった。なにか、こう、セガサターンは特別なのだ。この感覚はセガサターンというゲームハードを買った人のみがわかる感覚だと思う。あの起動音、とっつきにくいコントローラー。そしてアクの強いゲームソフトたち。まさに九十年代。
 あの頃はよかった、という感じともまた違う。
 なんだか、すごく妙な時代があったのだ。